ECHOESサマースクール2024 参加者の声

三浦 樹 (北海道大学環境科学院博士課程1年)

 今回のサマースクールでは、私は数少ない博士課程からの参加者でした。普段はなかなかお話しする機会の無い、私にとっては雲の上の存在である研究者の皆様と毎晩遅くまで様々なお話をさせていただく事ができ、この上なく貴重な経験をさせて頂きました。他方で、まだ研究テーマの定まっていない学部生などとも様々な交流をさせて頂き、時には相談にも応じる事ができた事を振り返ると、サマースクールは大変有意義な時間だったと感じています。

 私は現在、NCAR/CESM2.1.3やMIROC6といった高解像度の全球大気海洋結合モデルを用いた気候の改変シミュレーションを行っています。普段、私にはそういった気候モデルを用いた研究に関する相談・質問や分野の共通認識を身近に聞ける存在が非常に少なく、毎度JAMSTECの方々を中心とした何人かの研究者の方々に助けていただいております。今回のサマースクールでは、私と同様に気候モデル・数値モデルを使った研究を行っている研究者や自身の研究テーマに近しい研究を行っている研究者などとも忌憚なく相談できる稀有な機会に恵まれ、散り積もっていた、普段は些事に感じてしまうような聞く事が憚られる素朴な疑問について、お酒を片手に効率的に解消する機会にもなりました。それらの交流を通じ、研究に対するこれまでの知見が一層深まるとともに、より多角的な視点から自分の研究を見直す端緒となりました。

 サマースクールの期間中に実施されたグループワークにおいては、プログラミングに不慣れな学生に代わり私は観測データの解析作業を行いました。近年、AIとの親和性の高さも相俟って、データ解析における主要言語としてPythonが広く普及しています。しかしながら、サマースクールを通じて、プログラミングの経験が全くなく、Excel等を使って図を作成している学生も多くいらっしゃいました。また、近年は様々なAIをはじめとした研究に有用なツールが溢れていますが、このサマースクールを通して「自分もPythonや研究に役立つツールを使ってみたいので、ぜひ教えてほしい」と複数の学生からお声をかけていただきました。しかしながら、限られた期間においてはかかる知識を十分に共有することができず、いささか心残りを抱いておりました。

 そこで、運営の皆様の寛大なるご配慮を仰ぎましてこの度、拙文ながら解説記事を別ページにて公開させていただく次第となりました。近年世間にあふれている有用ツールは入れ替わりが激しく、すぐに新しい上位互換が登場するのが常だとも思いますが、特に研究を始めるにあたって苦労している学生の皆様の助けになれば嬉しい限りでございます。

 改めまして、この度はこのような大変貴重な経験をさせて頂きまして誠にありがとうございました。Hotspot3の関係者の皆様に、この場をお借りして篤く御礼を申し上げます。