A03-K109 水産資源分布の激変を引き起こす対馬暖流大蛇行の実態
A03-K109班
研究代表者
井桁 庸介 | 水産資源研究所 |
研究協力者
佐久間 啓 | 水産資源研究所 |
宮原 寿恵 | 水産資源研究所 |
高橋 素光 | 水産資源研究所 |
向 草世香 | 水産資源研究所 |
和川 拓 | 水産資源研究所 |
永井 平 | 水産資源研究所 |
阿部 祥子 | 水産資源研究所 |
木田 新一郎 | 九州大学、A01-1分担 |
広瀬 直毅 | 九州大学 |
田中 祐希 | 東京海洋大学 |
伊藤 大樹 | 水産資源研究所 |
日本海では、2019年以降、急激に水温上昇し、その高温傾向が維持されている。同時期に、日本海においてスルメイカの不漁、大型クラゲの非出現が続くとともに、ズワイガニ資源量の増加が報告されている。日本海の水産資源の分布が、海洋環境の激変とともに大きく変わったと推測されているものの、明確な答えは全く示されていない。一方で、2019年以降、隠岐東方沖に勢力の大きな暖水域(図の(1))が形成され、それが2023年まで維持された。この暖水域は、近傍を流れる対馬暖流の主軸を沖合化させることが示唆されている。2019年以降、対馬暖流の沖合化が起きていた可能性が高い。
本研究は、隠岐東方沖の暖水渦が対馬暖流の沖合化を引き起こし(図の(2))、それが日本海の本州沿岸域に滞留域を生み出すことで、滞留域外部由来の水産資源加入の侵入を阻害すると共に、滞留域内部由来の水産資源を保持していた可能性を示す(図の(3))。加えて、隠岐東方沖暖水渦の発生・減衰、対馬暖流の流量変動および黒潮大蛇行の関連性を議論し、黒潮大蛇行が隠岐東方暖水域発生、対馬暖流大蛇行を引き起こす可能性を探る。そして、対馬暖流・黒潮の大蛇行の同時発生により、日本周辺の水産資源分布が激変する可能性を追求する。
