大陸と海洋間の温度差によって駆動される季節風(モンスーン)は、暖候期には暖かく湿った南西風として、また寒候期には冷たく乾いた北西風として卓越し、日本周辺の天候に明瞭な季節性を創り出す。これらの風系によって輸送される水蒸気はやがて雨や雪となり、水資源を育む。一方で、モンスーンの変動は暖湿気の流入や寒気吹き出しの強弱の要因となるため、時として顕著な降水量の多寡の原因となり、防災や水資源の観点から我が国の生存基盤を脅威にさらす。
A03-8モンスーン班では、海洋の温暖化が急速に進行する日本周辺において、モンスーンと海洋の相互作用の理解を深化させることで、モンスーン活動そのものや極端気象の予測可能性を評価する。このような目的の達成のために、人工衛星を含む各種観測データ、再解析データ、大アンサンブル実験データ等を用いて、極端気象や異常天候を誘発する大気と海洋の多重スケール構造の特徴を診断的に解析し、モンスーン活動との連動や気候変化による変調を明らかにする。さらに、最新の大気海洋結合モデルや雲解像モデル等の数値モデル群を用いたアンサンブル予測実験や感度実験を行い、極端気象の予測可能性を検証する。